観葉植物から得られる6つのグリーン効果について

近年国連が定めたSDGsによって、持続可能な17の目標を掲げるさまざまな企業や自治体が増えてきています。その中でも観葉植物をオフィスに設置して「オフィスグリーン」を導入し、SDGsの目標8の「働きがいも、経済成長も」を達成する企業があります。

どうして観葉植物がSDGsと関係があるのか、疑問に思う方もいると思います。

観葉植物には科学的に証明された「グリーン効果」があり、経済成長の手助けとなるといわれています。オフィスグリーン化は、単なるインテリアではなく、「社員の健康と働きがい」を良くする役割があり、「グリーンアメニティ」といわれることもしばしば。そのグリーン効果は、オフィスに限らず一般家庭でも期待ができ、インテリアとしてだけでないメリットが得られます。

今回は、観葉植物のグリーン効果について詳しく解説。さらに、効果の期待ができる種類とコーディネートの仕方についても紹介します。オフィスや部屋に「観葉植物を置いてみたい」と検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

観葉植物の6つのグリーン効果

そもそも人間は、自然と繋がりたい欲が根本的にあるといわれていて、これを「バイオフィリア」といいます。人と植物が触れ合うことで、グリーン効果は大いに期待でき、幸福度も上がるといわれています(参考文献:Biophilia: Does Visual Contact with Nature Impact on Health and Well-Being?)。

室内のインテリアとして飾られる観葉植物には、以下の6つのグリーン効果が期待できます。

  • 目の疲労軽減
  • ストレス軽減とリラックス効果
  • 仕事の生産性の向上
  • 空気清浄効果と気温・湿度調整
  • 防音・目隠し効果
  • 風水効果

①目の疲労回復

昔から「緑」は、目にやさしい色と聞いたことがあると思います。緑色には、癒しや安らぎの印象があり、色彩心理学的においても、気持ちを安定させる効果があると言われています。

また、緑を見ると目の筋肉が緩むため、疲労回復へつながるとも考えられています。

学校にあった黒板は、正にその効果が使われていて、目が疲れないように配慮されていたのです。

このようなことから、室内の緑化率を高めることで、目に優しい環境づくりにつながると考えられます。

②リラックス効果とストレス軽減効果

植物には強弱はあれど、香りがあります。この香りには、リラックス効果やストレス軽減効果があると考えられています。

森を歩いているときに、緑の香りを感じた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。樹木になる植物には揮発性の油(フィトンチッド)を葉に含んでおり、匂いとして放出。これは葉の広い広葉樹よりも、葉が針のように細い針葉樹の方が多く含まれているといわれています。

特に北米を原産とする「ニオイヒバ」には、レモンのような爽やかな香りが強く、アロマオイルとして使われることも。

フィトンチッドは本来、ほかの植物の生長阻害効、虫の忌避・誘引、病原菌・微生物の殺菌効果が主といわれていますが、人間にとっては自律神経を安定させる効果が期待されています。

③作業の生産性の向上

リラックスやストレス軽減効果のある観葉植物を、オフィスに配置することで、集中力・創造力・チームワークが上がり、作業の生産性が向上効果も期待できます。

例えば、パソコン業務などで「ちょっと疲れたな」と、ふと観葉植物を眺めるだけで癒しとなり集中力が上がったり、また、赤や黄色など色味のある葉を置くことで、脳に良いインスピレーションとなり、創造性が向上してアイディアやひらめきが生まれることも。

さらに、観葉植物を社員一丸となって世話をすることで、コミュニケーションが増えます。植物の生長している姿や変化を社員同士で共有し合ったり、管理の当番など決めたりすることで、より温かみのある社内を築くことが可能です。

普段は喋らない人でも植物によって接点が生まれ、コミュニティーが広がり、美化意識も高まるので各個人の責任感と協調性が向上するかもしれません。

また世界の調査では、オフィスに植物がない人に比べ、植物がある人は幸福度が15%高いことが証明されています。社内の雰囲気が良くなれば、病欠も減ります。

参考文献:Interaction with indoor plants may reduce psychological and physiological stress by suppressing autonomic nervous system activity in young adults: a randomized crossover study

④空気清浄効果と気温・湿度調整

植物は、空気清浄や温度湿度の調整の役割もあり、乾燥肌、目・鼻の炎症、頭痛を和らげる効果があります。

観葉植物の数が十分にあって、適切に配置された室内は、湿度を上げて温度を10℃以上下げる効果があるといわれています。これは1本の健康的な木が室内にあると、20時間可動するエアコンと同じ量だけ室内を冷やすことに匹敵するため、エネルギーの使用量やコストの削減が可能性です。

⑤防音・目隠し効果

観葉植物を上手に配置することで、騒音の減少と目隠し効果を得ることが可能です。

例えば、森の中に入ると騒音が消えて静かになると思います。これは、木の葉・枝・幹が外部からの音を遮り、数が多いほど音を吸収します。さらに、低音よりも高音の周波数ほど防音効果が高いです

これを利用してオフィスなどでは、窓辺に背の高い観葉植物を置いて、防音と目隠し効果を得ることもあります。

また、小さな葉がたくさん出るフィカス・ベンジャミンなどは、パーティションとして目隠しや仕切りとして使われることも。ミーティングスペースや休憩室などで活躍が期待できるかもしれません。

⑥風水効果

「風水効果」については日本や中国の独特な考えによるもので、SDGsとは直接関係がありません。しかし、運気を高めることで社内の雰囲気が良くなり、働く人の心理や健康状態を良くすることができるといわれています。

もちろん企業だけでなく、一般家庭でも風水効果は期待でき、金運、仕事運、健康運などの運気を高めます。

観葉植物のグリーン効果を得るのに必要な「緑視率」

観葉植物がもつ一部のグリーン効果は、「視界に入る緑(植物)の割合」が関係しています。これを「緑視率(りょくしりつ)」と呼び、オフィスグリーンやまちづくりで採用されれことも。

植物が多過ぎても少な過ぎてもグリーン効果は期待できず、緑視率が10〜15%で最も効果を期待できます。植物に対する精神的な拒絶反応が少なく、効率よくグリーン効果を得られます。

自分が作業するスペースの目の前やその周りに、10〜15%の割合になるように観葉植物を上手に配置することが大切です。

グリーン効果のある観葉植物|選び方のポイント

観葉植物のグリーン効果を効率良く得るためには、植物の種類をできるだけ選ぶ必要があります。

ここでは、グリーン効果のある観葉植物の選び方について3つ紹介します。

  • 葉が細かい・薄い植物は、リラックス効果が高い
  • つる性の植物は、緑視率を効率良く獲得できる
  • 大きい鉢で育てる植物は、機能面に優れる

Point1. 葉が細かい・薄い植物は、リラックス効果が高い

高いリラックス効果を得たい場合は、1鉢で緑視率の割合が多い植物を選ぶのがポイント。その中でも、葉が薄くて細かく展開するものは、日差しが差し込むことで木漏れ日をつくれます。まるで自然の中にいるような空間を演出するため、リラックス効果を期待できます。

また、広葉樹よりもオイルを多く出す針葉樹は、香りでリラックス効果を得られるのでおすすめです。

Point2. つる性の植物は、緑視率を効率良く獲得できる

限られた部屋の広さで、緑視率を考えながらインテリアをコーディネートすることはとても難しいです。葉の数が少ない植物ばかり置いてしまうと、効率良く緑視率を稼げず、鉢の数が多くなってしまいます。

物理的に部屋が狭くなるだけでなく、管理も大変になってしまうので、葉の数が多いものを選ぶようにしましょう。

その中でも、つるで伸びる観葉植物は、下に垂らすことで1鉢で効率良く緑視率が稼げるのでおすすめです。

ただし、長いものを下に垂らすことは、風水的に良くないといわれているので、壁や柱を伝って上に伸ばすようにするといいです。

Point3. 大きい鉢で育てる植物は、機能面に優れる

背の高い植物は、防音や目隠し効果だけでなく、鉢が比較的大きいので、家具としても機能をもたせることができます。

鉢の上に板を置いて使う「テーブルプランター」は、小さなサイドテーブルとして家具になります。植物を傷つけることがなく、小さなものが置けるので、コーヒーテーブルなどとして使うことも可能です。

ソファーやベッドの脇などに置けば、おしゃれなインテリアにもなります。

グリーン効果のある観葉植物の飾り方

ここでは、グリーン効果のある観葉植物の飾り方について解説します。

  • つる性の観葉植物は高いところから垂らす
  • 視界に入るような高さにセットする
  • 玄関に置いて風水効果を高める

1. つる性の観葉植物は高いところから垂らす

つるで伸びる観葉植物は、本棚やウォールシェルフの上など、目の高さよりもに高い場所に置いて飾ってみましょう。効率良く緑視率が稼げ、動きのある空間を演出できます。

壁、天井、カーテンレール、ダクトレールなど、高い場所からハンギングで飾るものおすすめです。ただし、重さのある鉢は落下する危険性があるので、手乗りサイズの軽い鉢を選びましょう。

2. 視界に入るような高さにセットする

観葉植物を床に置くと、目の高さよりも低過ぎるため、緑視率が効率良く獲得できません。また、床の面積が減ると部屋が狭く見える場合も。

床に観葉植物を置く場合は、できるだけ「鉢スタンド」を使って高さを出すといいです。自分の視界に入るような高さでコーディネートするのがポイントです。

3. 玄関に置いて風水効果を高める

風水を取り入れたインテリアをコーディネートする場合は、良い運気や悪い運気などさまざまな運気が出入りする、玄関やエントランスに観葉植物を置きましょう。

先端が鋭くとがった葉をもつ植物は、邪気払いの効果があり、悪い気を跳ね除けるパワーがあるといわれています。

また、玄関や入り口は、金運を司る場所です。金運を上げるパワーがあるパキラなどを置くと、家・建物全体の運気を上昇させることができます。

まとめ

観葉植物には6つのグリーン効果があり、生活を豊かにする可能性があります。適切な緑の割合で観葉植物を置くことで「癒し」となり、ストレスを軽減できることはとても魅力的です。

科学的に証明されていることもあり、効果が全くないとはいい切れないと思います。ただし、1つ置くだけでは実感しにくいこともあるので、最低3つ以上置くのがいいかもしれません。

また、観葉植物を部屋に置いてしまうと、物理的に狭く感じたり、虫が湧いたりするデメリットがありますが、コーディネートの仕方や管理方法によって解消することも可能です。

観葉植物を上手に配置して「働きやすい場所」「住み心地ちがいい場所」をつくってみてください。

観葉植物のグリーン効果に関するよくある質問

置かない方がいい観葉植物はある?

観葉植物として一般的に販売されている植物は、インテリアとして飾るだけなら問題がありません。ただし、種類によっては毒をもつものもあり、取り扱い方を間違えれば危険性があります。

樹液に触れると肌がかぶれるもの(クワ科の植物)や、口に入れたりするとおう吐や腹痛を引き起こすもの(モンステラなど)があります。

小さいお子さんやペットがいる方は、できるだけそういった植物を避けた方がいいかもしれません。中には、サボテンのようなトゲのある植物もあるので、怪我をする場合もあります

植え替えや剪定するときは、怪我をしないような服装で作業することが大切です。

フェイクグリーンや造花でも効果はある?

フェイクグリーンや造花などでも、緑視率に関するグリーン効果は期待できます。自分の視界に適切な割合で緑色があれば、心を落ち着かせ、癒しとなります。

ただし、植物のように生きていないので、空気清浄、湿度調整、風水などの効果は期待できないです。

観葉植物を置くメリット・デメリットは?

観葉植物を置くことで、6つのグリーン効果を得られるだけでなく、インテリア性も高くなります。景色が映えるから、オフィスに観葉植物を取り入れることも。

ただし、生物なので管理する手間が増え、大変に感じる場合もあると思います。観葉植物の数が多過ぎると、ケアがストレスとなる場合もあるので、自分が管理できる範囲で、鉢の数を決めるといいです。

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