空気清浄効果がある観葉植物15選!植物が空気をきれいにするって本当?

観葉植物の中には、空気清浄効果を期待できるものがあります。呼吸する際に空気中に浮かぶ有害物質(化学物質)を取り込み、その後で新鮮な空気(酸素)を排出するためです。

インテリアとしてお部屋に彩りを与えるだけでなく、空気もきれいにしてくれるとは、まさに一石二鳥。これを聞き、よりお部屋に植物を置いてみたくなった人も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では観葉植物の中でも、特に空気清浄の力が強いと言われる品種を15種類紹介します。また、効果を高めるコツについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

緑の空気清浄機【サンセベリア】

花言葉 永久、不滅
初心者向き 初心者でも大変育てやすい植物です
日当たり 直射日光にも、日陰にも強い植物です
耐暑性 強い
耐寒性 やや弱い(10℃程度)
注意点 水やりが少なく済むため、本当に水やりを忘れないように

目次

観葉植物の空気清浄効果

観葉植物が空気清浄効果を発揮する仕組み

観葉植物には空気清浄効果があります。では、なぜ植物に空気をきれいにする力が備わっているかというと、その仕組みは「呼吸」です。

植物は二酸化炭素を吸う際に、空気中に浮かぶ有害物質やカビも一緒に吸着して取り込みます。これが空気清浄効果があるといわれる所以(ゆえん)です。

植物には大気汚染を軽減する力がありますが、室内では揮発性有機化合物といわれるVOCs(Volatile Organic Compounds)の除去効果があると証明されています。

具体的には、1989年にアメリカの航空宇宙局NASAの研究で、「12種類の観葉植物がどれくらい空気をきれいにするのか」というテストが行われました。テストの結果、わずか24時間でほとんどの植物は、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロロエチレンを最大87%除去したとされています。これは植物の葉と根によってVOCsが空気から除去され、酸素が部屋に排出されたのです。

参考:Interior Landscape Plants for Indoor Air Pollution Abatement – NASA Technical Reports Server (NTRS)

観葉植物が取り除ける主な有害物質

室内の空気中に浮かぶ有害物質であるVOCsは、蒸発しやすくて大気中で気体となる有機化合物(化学物質)です。

空気中に溶け込むVOCsには、たくさんの成分があり、200種類以上のものがあるといわれています。街では、車や工場による排気ガスによって発生していますが、住宅でも化学物質を使った塗装、プリンター、家具、衣類、洗剤など化学的な匂いを出すものからもVOCsが発生してます。

このように、私たちの生活空間には様々な有害物質が溢れていますが、その中で観葉植物が取り除いてくれる代表的なものを紹介します。

観葉植物が取り除く有害物質
項目 概要
二酸化炭素 密閉した空間でガスや灯油を燃料とするファンヒーターを使うと濃度が上がる。濃度が基準値を超えると、頭痛、倦怠感、眠気等の症状に繋がる場合もある。
ホルムアルデヒド 合成樹脂の製造原料、消毒剤、防腐剤、接着剤、医療品等に使われる。家具や建材に使用されている接着剤に含まれるホルムアルデヒドが室内に拡散した場合、粘膜刺激やアレルギーを引き起こす可能性がある。吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれあり。シックハウス症候群の原因と言われている。
ベンゼン たばこの煙などに含まれている。高濃度のベンゼンを長期間吸い込むと、造血器に障害を引き起こし、貧血などの症状が出ることが知られている。低濃度のベンゼンを長期間吸い込むと血液のがんである、白血病を引き起こす可能性があることがわかっている。
キシレン 塗料、接着剤、印刷用のインクなどに使われる。吸引すると、眠気又はめまいのおそれのあり。中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓の障害も疑われる。/td>
トリクロロエチエレン フロンガス代替物質の合成原料や機械部品、電子部品の脱脂洗浄剤として主に使用される。発がん性が疑われる。
アンモニア 人体や排泄物からも排出される。眼、皮膚、口腔や気道の粘膜に即時性の損傷(重度の刺激症状と熱傷)を引き起こす可能性がある。

【有害物質に関する参考文献】

湿度と温度を調整し、空気をきれいにする力も

また、観葉植物は、空気清浄機能だけでなく、湿度とそれに伴った温度の調整ができることでも知られています。

葉や茎にある「気孔」により蒸散が行われる際、水分が出入りします。植物は体内の水分が少ないと空気中の水分を吸収し、反対に多いと空気中に放出するため、これにより空気中の湿度や温度が調整されるのです。

このように、有害物質を取り除く機能と、温度や湿度を調整する機能をもっていることが、天然の空気清浄機と言われる所以となっています。

空気清浄効果があるおすすめの観葉植物15選

ここでは、空気清浄効果のあるおすすめの観葉植物を15種類紹介します。数が多いので今回は「小型」「中型」「大型」鉢のサイズ別に紹介します。

複数の観葉植物を置くことで、空気清浄効果はより期待できるので、部屋の広さにあわせて適切なサイズのものを選ぶといいです。

【小型】空気清浄効果があるおすすめの観葉植物5選

まずは、比較的大きくなりにくくて小型の鉢でも育てられる、空気清浄効果がある観葉植物5種を紹介します。

  • ゴールデン・ポトス
  • アグラオネマ・モデスタム
  • イングリッシュ・アイビー
  • オリヅルラン
  • グズマニア

ゴールデン・ポトス

USDA zone  10a(-1.1〜1.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1〜2回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回(株分け)

つる状に伸びた茎から、ゴールドの斑が入ったハート型の葉が互い違いに展開するゴールデン・ポトス。観葉植物の中でも代表的な種類で、生命力が強く、難しい管理もなくてどんどん生長して大きくなるので人気です。卓上の鉢植えで育てるだけでなく、ハンギングや支柱を使ってインテリアにもなるので、部屋のコーディネートが楽しめます。

ゴールデン・ポトスは、東南アジアの熱帯地域に自生するサトイモ科の植物。つるが上部に伸びると葉が大きくなる「登はん性」をもつため、現地では茎が太くなり、モンステラのような切れ込みの入った大きな葉になる場合もあります。寒さには極端に弱いですが、日陰にとても強く、暗くなりがちな部屋でもよく育ちます。

また、ゴールデン・ポトスは、キシレン、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンの除去ができるといわれています。

ワンポイントアドバイス

USDA Plant Hardiness Zoneとは?

United States Department of Agriculture Plant Hardiness Zone(米国農務省 植物の耐寒性地帯)の略。米国農務省が開発した、寒さの段階を13のレベルに分け、植物の耐寒性レベルを数値とマップで明瞭化した指標です。造園やガーデニングをするうえで、植物がどの地域で、どれくらいの寒さまで耐えられのかを確認するために使います。日本では気象庁の観測データを元に、都道府県市町村ごとにレベル分けされています。
※指標は、植物を屋外で育てたときの目安。
参考:Japan Plant Hardiness Zone

アグラオネマ・モデスタム

USDA zone 10a(-1.1〜1.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月1〜2回
夏:月2〜3回
冬:月0〜1回
肥料 N:P:K=10:10:10(花が咲いた場合はリン酸を多めにするのも良い)
剪定 2〜4年に1回(株分け)

波打った薄い濃緑の葉が、地面から長く立ち上がるように展開するアグラオネマ・モデスタム。英語圏ではChinese evergreenの名前で親しまれ、さまざまな品種が出回っています。直立した茎は長く伸び、原生地では草丈が1mになることもあります。

アグラオネマ・モデスタムは、土がたくさん入った大きめの鉢であれば、水やりは葉が下に垂れているときや、月に1〜2回ほどで問題ありません。日当たりが悪い場所でも葉の色味が悪くなりにくいですが、週に1回ぐらいのペースで日当たりの良い場所に移動させてあげるといいです。

アグラオネマ・モデスタムをはじめとするアグラオネマ属(Aglaonema)は、NASAの研究発表によると、空気清浄効果が高いと証明されています。主に「ホルムアルデヒド」と「キシレン」を吸収します。

イングリッシュ・アイビー

USDA zone 4a(-34.4〜31.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 強い
耐暑性 やや強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1〜2回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回(株分け)

アヒルの脚のような形をした葉に、白やクリーム色の斑が入るイングリッシュ・アイビー。茎がつる状に長く伸びて枝分かれもよくするので、キュートな葉が次々と展開します。

アイルランドやスカンジナビア半島に自生するイングリッシュ・アイビーは、寒さにとても強く、氷点下30℃ほどまで耐えられます。さまざまな品種が出回り、斑がまだらに入るものや葉がウェーブがかるものなど、色や形のバリエーションが豊富です。

高温多湿な環境が苦手なので、過湿な環境になる場所は避け、直射日光が当たらない涼しい場所で管理しましょう。葉が混みあうと、株の内側の日当たりと風通しが悪るくなるので、剪定(せんてい)してボリュームを減らすといいです。

また、イングリッシュ・アイビーの空気清浄効果は、ホルムアルデヒドとベンゼンの除去が高いといわれています。

オリヅルラン

USDA zone  9a(-6.7〜-3.9℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや強い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1〜2回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回

中心から外側に向かって、アーチを描くように無数の細長い葉が伸びるオリヅルラン。春から秋ごろにかけては、ランナーと呼ばれる茎を伸ばし、白い花を咲かせ小さな子株も出します。ハンギングで飾ることでおしゃれなインテリアにもなり、小さくても存在感のある観葉植物になります。

北米とヨーロッパを除く、比較的暖かい地域に自生するオリヅルランは、極端な寒さに弱く、暖かいところでよく育ちます。室内の半日陰になるような場所で育てるのがおすすめです。関東地域の冬であれば、外で冬越しができる強い株もあります。

また、オリヅルランは、ベンゼン、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、キシレンなどの有害化学物質を吸収できるパワーがあります。

グズマニア

USDA zone 9b(-3.9〜1.1℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや強い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月1〜2回
夏:月2〜3回
冬:月0〜1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 枯れた葉・花の摘芯のみ

円を描くようにロゼット型に葉が展開し、中心から苞(ほう)と呼ばれる葉が立ち上がって伸び、赤や黄色に色付くグズマニア。ビビットな苞の色はトロピカル感があり、南国のリゾートのような部屋を演出します。苞が花のように見えますが、本当の花は重なった苞の隙間から黄色い小さな花びらをもったものが咲きます。

熱帯アメリカに130種類以上の原種が自生しているグズマニは、木や岩に着生して生長する着生植物。土を必要としないため、根は体を支える役割のみです。水は葉の中心にタンクのようにたくわえていて、必要なときに補給するユニークな植物です。

そのため水やりは、土に水を与えるのではなく葉の中心に与えます。ただし、室内では水が腐りやすいので、水やりから数十分後に鉢を逆さまにひっくり返して、余分な水を抜きましょう。

グズマニアは空気清浄効果も高く、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトンの除去ができます。

【中型】空気清浄効果があるおすすめの観葉植物5選

次に、鉢を片手で抱えるほどのサイズになる中型の観葉植物5種を紹介します。

  • スパティフィラム・メリー
  • アンスリウム
  • アロエベラ
  • フィロデンドロン・オキシカルディウム
  • ネフロレピス・ボストンファーン

スパティフィラム・メリー

USDA zone 11a(4.4〜7.2℃程度まで耐えられる)
耐寒性 弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1〜2回
肥料 N:P:K=10:10:10(花が咲いた場はリン酸を多めにするのも良い)
剪定 2〜3年に1回(株分け)

白い葉の形をした仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞と、クリーム色の長い棒のような花が咲くスパティフィラム・メリー。白とクリーム色の花が、葉の隙間から立ち上がるように咲く姿が美しく、「ピースリリー(Peace Lily)」の名前でも親しまれています。

スパティフィラム・メリーは、中南米に自生する原種と別品種によって生まれた園芸品種です。寒さには極端に弱いですが、日陰にとても強く、日当たりが悪い場所でも花が咲きます。

ただし、温度が低くなり過ぎると花が咲かなくなるので、気温が15℃以上になるように管理することがポイント。花が咲いたら、定期的に肥料を与えて、花付きを良くさせましょう。

また、スパティフィラム・リリーは、ベンゼン、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、キシレンなどの有害化学物質を吸収できるパワーがあります。

アンスリウム

USDA zone 11a(4.4〜7.2℃程度まで耐えられる)
耐寒性 弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1〜2回
肥料 N:P:K=10:10:10(花が咲いた場合はリン酸を多めにするのも良い)
剪定 2〜3年に1回

赤、ピンク、緑、紫、茶、白、複色など、光沢のある仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる葉(花)の色のバリエーションが豊富で美しいアンスリウム。仏炎苞の模様のパターンのバリエーションも多くさまざまな品種があり、グラデーションや斑入りなど多彩で部屋のインテリアになります。カラーリーフとして品種改良されたものも多く、目をひくような部屋のアイポイントにもなります。

熱帯アメリカから西インド諸島に生息するアンスリウムは、開花期間が長く、半年ほど観賞ができます。花が終わると葉がだけが残りますが、落葉しにくく、長い間色の変化を楽しめます。

次の年も花を観賞するなら、定期的に肥料を与えましょう。窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れた緩効性化成肥料や、リン酸・カリウムの多い草花用の化学肥料でも大丈夫です。

また、アンスリムにはホルムアルデヒド、アンモニウム、キシレン、トルエンの除去効果があります。

アロエベラ

温度 8b(-9.4〜-6.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 強い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月1〜2回
夏:月2〜3回
冬:月0〜1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回

地面から螺旋(らせん)階段のように、段々と太くてやわらかい多肉の葉が伸びるアロエベラ。擦り傷や火傷の炎症を治癒してくれる便利な植物として、昔からよく親しまれています。ダイナミックに広がるトゲのある葉は、室内の観葉植物として印象ある空間を演出します。

水分がたっぷりと入ったアロエベラの多肉質の葉は、直射日光による葉焼けを起こしにくく、水切れによって枯れることも少ないです。日差しがよく当たる窓際で育てるのが最適です。

治癒力のある植物として親しまれてきたアロエベラですが、NASAの研究結果ではホルムアルデヒドの除去に優れた能力をもっているといわれています。

ただし、VOCsの発生する量が極端に多い場所では、葉の表面に茶色の斑点模様が浮かび上がることもあります。

フィロデンドロン・オキシカルディウム

USDA zone 10a(-1.1〜1.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1〜2回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜4年に1回(株分け)

ハート型の葉が、つる状の茎から互い違いに展開するフィロデンドロン・オキシカルディウム。つるがよく伸び、厚みのある濃緑の葉が無数に出るので、ボリュームのある大株になります。ハンギングで飾るとおしゃれで、さまざまなテイストのインテリアによくなじみます。

ハート型の葉が特徴のフィロデンドロン・オキシカルディウムは、ハートカズラの別名をもち、メキシコなどに多く自生します。生育旺盛で、温度10℃以上なら健康的に良く育ちます。直射日光には弱いので、半日陰になるような場所で育てるのが最適です。

また、空気清浄効果では、ホルムアルデヒドを多く吸収する実験結果があります。

ネフロレピス・ボストンファーン

USDA zone 8b(-9.4〜-6.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 強い
耐暑性 やや強い
水やり 春・秋:月1〜2回
夏:月2〜4回
冬:月1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 なし

無数の葉が幾重にも重なって、ボールのような丸い姿になるネフロレピス・ボストンファーン。さらに大きくなると、滝が流れ落ちるかのよう鮮やかな黄緑の葉が長く伸びます。ボリューム感のある大きなシダ植物なので、高いところから吊るしたりすると、スタリッシュでおしゃれです。

アメリカで改良品種されてつくられたネフロレピス・ボストンファーンは、明るい陽の光を必要とせず、湿気のある半日陰になるような場所でよく育ちます。葉が乾燥しているときは、霧吹きや水やりをして多湿な状態をキープしましょう。寒さに耐性があるので筆者がいるカナダでは、晩秋ごろまでは庭で育てている方もよく見かけます。

室内に飾っておくと、ホルムアルデヒドとキシレンの除去に役立ちます。

【大型】空気清浄効果があるおすすめの観葉植物5選

最後に、鉢植えでも樹高・草丈が1.5mを超えるような大型の観葉植物5種を紹介します。

  • ドラセナ・マルギナータ
  • フィカス・ベンジャミナ
  • インドゴムノキ
  • アレカヤシ
  • サンセベリア・ローレンティ

ドラセナ・マルギナータ

温度 8b〜12b(-9.4〜-15.6℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや強い〜弱い(品種によって異なる)
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月1回
夏:月1〜2回
冬:月1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 3〜4年に1回

地面からスリムな灰色の幹が軽やかにまっすぐと伸び、先端から光沢のある細長い葉を展開するドラセナ・マルギナータ。すらっと伸びた幹は、たたずまいがクールでスタイリッシュな印象があります。個体によっては、曲げで仕立てられたものもあり、自分で樹形を変えることもできます。

ドラセナ・マルギナータは、マダガスカルに自生する樹木で、高温多湿な環境を好みます。夏は半日陰になるような場所に移動させ、適度に湿った状態をつくるといいです。冬場は水やりを控えてあげると、寒さに耐性が付きます。

ただし、光が不足したり湿度が低くなったりすると、葉が下に垂れてしまうことも。カーテンで遮光した明るい場所に置き、乾燥するときは加湿器を使うといいです。

また、NASAの研究結果では、キシレン、トリクロロエチレン、ホルムアルデヒドの除去が高いといわれています。

フィカス・ベンジャミナ

USDA zone 10a(−1.1〜1.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月0〜1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回

細かく枝分かれし、先端がしゅっととがった楕円形(だえんけい)の小さな葉を無数に展開するフィカス・ベンジャミナ。つるのように細い幹がよく伸び、自由に樹形を変えられます。白みがかった灰色の幹と、濃緑の葉が相まった姿が美しく、印象的なインテリアにもなります。

東南アジアに自生するフィカス・ベンジャミナは、大きくなると樹高が20m程度まで生長する高木です。幼木のうちは半日陰で良く育ち、成木になると日光を目指して大きくなります。水はけが良くなるように、観葉植物用の土に腐葉土や赤玉土を少量混ぜ込むといいです。

また、フィカス・ベンジャミナの空気清浄効果は、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロロエチレンの除去といわれています。

インドゴムノキ

USDA zone 10a(−1.1〜1.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや弱い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月0〜1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回

厚みのある楕円形の大きな葉が幹から互い違いに伸び、気根(きこん)と呼ばれる根を無数に伸ばすインドゴムノキ。観葉植物の中でも人気の樹木で、葉の色が違う変種や斑が入る園芸品種などがたくさんあります。「ゴムノキ」の名前でも親しまれ、昔はゴムの材料として樹液が採取されていることもありました。

スマトラやジャワに自生するインドゴムノキは、大きくなると樹高が30〜40m程度まで生長する高木で、室内でも大きな鉢植えで育てれば3mを超えることもあります。つやのある大きな葉の直径は20〜40cmほどにもなり、人をひきつけるような美しさがあります。

高温多湿な環境でよく育つ植物なので、定期的な葉水や水やりがかかせません。夏場は土を乾かさないように育てることがポイント。

NASAの研究でインドゴムノキによって除去されたVOCsは、キシレン、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンとされています。

アレカヤシ

USDA zone 10a(-1.1〜1.7℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや強い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月2〜3回
夏:月3〜4回
冬:月1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 3〜4年に1回

地面から真っ直ぐと細い幹が立ち上がり、放物線を描くように長く伸びる緑の葉が鮮やかで美しいアレカヤシ。南国のような雰囲気を漂わせ、涼しげな印象があります。風に吹かれると、軽やかな大きな葉がサラサラと音を立て、癒しのある空間を演出します。

マダガスカルなど熱帯雨林の地域に自生するアレカヤシは、ヤシ科の植物で、生長スピードが比較的ゆっくりですが、大きくなると樹高が10m以上の高木になる場合も。ただし、鉢植えなら大きくなっても2mほどにしかならず、小さく育てることもできます。

寒さに弱いので、冬の間は10℃を下回らない場所で管理し、冬の夜間は段ボールや毛布などを使って防寒対策をするといいです。

また、アレカヤシは、ベンゼン、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、キシレンの空気清浄効果が高いといわれています。

サンセベリア・ローレンティ

温度 9a(-6.7〜-3.9℃程度まで耐えられる)
耐寒性 やや強い
耐暑性 強い
水やり 春・秋:月1〜2回
夏:月2〜3回
冬:月0〜1回
肥料 N:P:K=10:10:10
剪定 2〜3年に1回

地面から伸びる厚みのある緑の葉に、黄色い斑が縁取るように入るサンセベリア・ローレンティ。鋭くとがった葉は剣の鋒(きっさき)のようで、クールでスタイリッシュです。比較的草丈が60cmほどのものが販売されていることが多いですが、大きくなると草丈が2mを超えることもあります。

熱帯アフリカやマダガスカルなどに生息するサンスベリア・ローレンティは、暑さ・寒さ・乾燥に耐性があり、生命力がとても強いです。観葉植物の中でも「枯らすのが難しい」といわれています。初心者でも育てやすく、管理に不安がある方でも枯らさす心配が少なくておすすめです。

NASAの研究では、空気清浄効果が特に高い植物といわれ、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、ベンゼン、キシレンの除去ができます。

空気清浄効果を高める観葉植物の置き場所

空気清浄効果をより高めるためには、観葉植物の置き場所にこだわることも大切です。適切な場所に置くことで、効果はより期待できるかもしれません。

下記の3箇所に観葉植物を置いて、より新鮮な空気が感じられるような部屋をレイアウトしてみましょう。

  • 窓から離した少し離した場所
  • 部屋の入り口付近
  • ソファやイスの脇

Point1. 窓から少し離した場所

直接窓から風が吹くと、空気中に浮かぶVOCsは室内の方へ流れます。観葉植物がしっかりと空気清浄効果を発揮させられるように、窓から数メートル離した、高さのある場所へ置きましょう。

風が直に植物の葉に当たるとVOCsをキャッチできないだけでなく、植物の水分が過剰に蒸発してしまい、葉が枯れてしまう場合もあります。壁や天井に跳ね返った風が当たるように、観葉植物を配置することがポイントです。

Point2. 部屋の入口付近

観葉植物は風がない場所では生育が悪く、病害虫の被害にあう場合もあります。弱い風が吹きやすい部屋の入り口付近に置き、空気清浄効果を取り入れるといいです。

部屋の入り口付近は、人の出入りがあるため空気が常に流れます。流れた空気によってVOCsも一緒に漂うので、通路の邪魔とならない入り口付近に観葉植物を置きましょう。

Point3. ソファーやイスの脇

日中の間は、植物は常に光合成を行いながら新鮮な空気を放出しています。より身近に感じられるように、普段からよく座る場所の近くに観葉植物を置いてみましょう。

ソファやイスの脇などに観葉植物を置くことで、空気清浄効果の役割を果たすだけでなく、気分も清々しくなり、ストレスの軽減にもつながります。

空気清浄効果を高めるための観葉植物の育て方

観葉植物の生育が悪くなってしまうと、空気清浄効果は期待できません。十分に大きく育ち、健康的な株になることで植物はVOCsを除去できるようになります。生育が悪くならないように適切な管理を行いましょう。

ここでは、空気清浄効果を高めるための観葉植物の育て方を紹介します。

  • 日当たりと風通しの良い部屋に置く
  • 季節にや生長の流れにあわせて水やり
  • 植え替えや剪定をする
  • 定期的に肥料や活力剤を与える

1. 日当たりと風通しの良い部屋に置く

観葉植物は、日当たりと風通しが良い場所で育てると元気に生長します。日当たりが悪い場所だと、葉の色味が落ちたり、病害虫の被害にあったりする場合も。1年を通して、日光がよく当たるような暖かい場所に飾りましょう。

ただし、植物の種類や個体によって強い光への耐性が違います。例えば、シダ植物は薄暗い湿った場所に自生する植物なので、直射日光がさんさんと当たる場所では枯れてしまう場合もあります。

植物の種類や生態にあわせて、カーテン・ブラインドなどで遮光をし、光の量を調節しましょう

2. 季節にや生長の流れにあわせて水やり

基本的に観葉植物の水やりは、土をしっかりと乾かしてから、一度に水をたっぷりと与えます。土が乾燥と過湿な状態にメリハリが付くように水を与えることで、植物の根は呼吸しやすくなり、根腐れの防止にもなります。

また、鉢底穴から水がこぼれるぐらいたっぷり与えることで、中にたまってしまった二酸化炭素を押し出すことができ、新鮮な酸素を中に溜め込むことが可能です。

ただし、水をちょろちょろと与えると、鉢の中全体に行き渡らないため、水切れを起こす場合も。時期によっては土が乾きにくくなるため、根腐れを起こすこともあるので、季節や生長の流れにあわせて水を与える頻度を変えましょう。

3. 植え替えや剪定をする

鉢植えで育てる観葉植物は、2〜3年に1回のペースで植え替えと剪定を行ってください。

2年ほど経つと、鉢の中の土は古くなり栄養のバランスが偏ったり、微生物の数が少なくなったりして、植物が健康的に育ちにくい悪い土になりやすいです。

さらに、根鉢もパンパンに固くなって根詰まりを起こす場合も。鉢の中に二酸化炭素がたまって根腐れを起こすこともあるので、鉢底穴や鉢の表面から根が出ているときにも植え替えをしましょう。

また、根が大きく生長すれば、枝葉も同じぐらい大きくなります。株の内側の日当たりや風通しが悪くなると、生育不良を起こしたり、病気や害虫の被害にあったりすることもあるので剪定(せんてい)をしっかりを行いましょう。

枝葉が伸び過ぎていると、周辺のものにぶつかって傷を付ける恐れや、スペースを無駄にとってしまう場合もあります。伸び過ぎた箇所や枝葉が混み合った箇所を中心に剪定するといいです。

ただし、植物によって生長の流れやスピードが異なるので、回数や頻度は植物にあわせて変えます。

4. 定期的に肥料や活力剤を与える

美しい葉を観賞しながら、空気清浄効果を取り入れる場合は、観葉植物に定期的に肥料を与えます。生長期を迎える5月ごろから、寒くなる9月ごろまでを目安に、N(窒素)・P(リン酸)・K(カリウム)のバランスの取れた緩効性化成肥料を与えましょう。

また、観葉植物は肥料だけでなく、活力剤も与えるといいです。

活力剤は肥料とは違い、N・P・K以外の必要な栄養素を含んだ栄養剤です。栄養ドリンクのようなものなので、水やりをするときに一緒に与えたり、何でもないときに与えたりします。日頃から活力剤を与えることで、植物は健康的な株になり、空気清浄効果はより高まります

まとめ

観葉植物の中には、空気清浄効果を期待できるものがあります。種類を選び、部屋に適切な数を配置することで、空気中に浮かぶ有害物質VOCsの量を減らせるかもしれません。さらに置き場所や育て方にも注意をすれば、空気清浄効果をさらに期待できます。

しかし、部屋の大きさ・植物の数・生育力によって、全てのVOCsを除去できるとは限らないです。1鉢置いたからといって、空気がきれいになるわけではありません。

観葉植物を置くことによって自然の力で空気をきれいにでき、ストレスフリーな快適な生活ができるようになります。

ぜひ空気清浄効果の高い観葉植物を置いて、健康的な生活ができるような部屋をつくってみてください。

緑の空気清浄機【サンセベリア】

花言葉 永久、不滅
初心者向き 初心者でも大変育てやすい植物です
日当たり 直射日光にも、日陰にも強い植物です
耐暑性 強い
耐寒性 やや弱い(10℃程度)
注意点 水やりが少なく済むため、本当に水やりを忘れないように

観葉植物の空気清浄効果に関するよくある質問

Q.観葉植物に空気清浄効果があるのは嘘なのでは?

観葉植物に空気清浄効果がないわけではありません。NASAの研究結果からわかるように、観葉植物は種類によって一部のVOCsを除去することが証明されています。

しかし、除去にかかる時間が遅いといわれ、観葉植物だけでは空気を完全にきれいにすることが難しいとも証明されています。最近の研究では、1平方メートルのうちに10〜100個の植物を置かないと、空気清浄機に匹敵しないといわれることも。

部屋の広さにあわせて、適切な数で観葉植物を置くことが大事です。

Q.空気をきれいにする効果が期待できる花は?

NASAの研究では、ガーベラ(Gerbrta jamesonii)も空気清浄効果が高いと証明されています。研究結果から見ると、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロロエチレンの除去ができたようです。

特にベンゼンは67.7%の除去ができたと証明されています。

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