オリーブの木の育て方とおすすめの飾り方について

地面から角ばるように幹が伸び、太陽の光に当たると銀葉がきらきらと輝くオリーブの木。細い枝から空へ真っ直ぐと立ち上がった銀葉がスタイリッシュで美しく、洋風テイストの庭によくなじみます。

生命力が強く、強い剪定(せんてい)にも負けないので、自由に樹形や大きさを整えやすく、室内・屋外のシンボルツリーや目隠し用の庭木・観葉植物としてもおすすめです。

今回は、オリーブの木の特徴や魅力についてたっぷりと紹介します。さらに、枯らさないための育て方のコツや適切な剪定の時期と方法、植え替えの仕方、室内でのおすすめの飾り方などについても解説します。

オリーブ ひなかぜ

花言葉 平和、知恵
初心者向き 初心者でも大変育てやすい植物です。
日当たり 明るい屋外管理をお勧めします。
耐暑性 強い
耐寒性 最低0℃程度
注意点 室内で育てると徒長する場合があるため注意。

目次

オリーブの基本情報

学名 Olea europaea
英名 Olive tree、Dwarf olive、Little olive
別名 オレーフノキ
科名・属名 モクセイ科・オリーブ属
特性・形態 常緑性中高木
樹高 1〜20m
原産地 地中海沿岸部、アメリカ西海岸
USDA zone 7a(-17.8〜-15℃までなら耐えられる)
耐寒性 強い
耐暑性 強い
耐陰性 やや弱い
特徴 生長スピードがとても早い、乾燥に強い、果樹
花言葉 平和、知恵、安らぎ、勝利、歓迎
誕生花 5/22、5/26、5/30、10/27、12/23、12/31

ギリシャ・スペイン・イタリアなど地中海沿岸部に自生するオリーブは、冬に葉を一斉に落とさない常緑性中高木。基本的には雨が少なく、暖かくてカラッとした気候を好み、乾燥した土でよく育ちます。

ほかの植物と比べると生長スピードがとても早く、大きくなると樹高が15mを超えることも。地面に根付いたものだと5年ほどで樹高3m以上になる場合もあります。

定期的な剪定をしないと樹形が乱れ、予想以上に高くなり過ぎることもあるので、ケアをしっかりを行うことがポイントです。鉢植えなら、地植えよりも生長スピードが緩やかなので、管理に慣れるまでは苗木を鉢植えで育てるのもおすすめです。

また、寒さにはある程度強く、大きく育ったものなら氷点下15℃でも枯れることがあまりありません。ただし、温暖な場所を好むので、北風が強く吹くような場所では、生長不良を起こしたり、株が枯れてしまうことも。置き場所・植え付け場所は、強い風が当たらない場所を選びましょう。

初夏になると、上品な甘い香りのある白い花が咲き、品種を選べば1本で実を収穫することもできます。

ワンポイントアドバイス

USDA Plant Hardiness Zoneとは?

United States Department of Agriculture Plant Hardiness Zone(米国農務省 植物の耐寒性地帯)の略。米国農務省が開発した、寒さの段階を13のレベルに分け、植物の耐寒性レベルを数値とマップで明瞭化した指標です。造園やガーデニングをするうえで、植物がどの地域で、どれくらいの寒さまで耐えられのかを確認するために使います。日本では気象庁の観測データを元に、都道府県市町村ごとにレベル分けされています。
※指標は、植物を屋外で育てたときの目安。
参考:Japan Plant Hardiness Zone

オリーブの観賞&手入れの時期

  • 観賞期:5〜7月(花)
  • 結実期:10月下旬〜11月中旬
  • 植え付け、植え替え:3月下旬〜4月上旬、5月中旬〜6月下旬
  • 肥料:2月、6月、10月
  • 剪定:2〜7月(3月が最適期)

オリーブの葉・花・実の特徴

江戸時代末期に渡来したといわれるオリーブは、香川県の小豆島に初めて植えられ、現在でも多く栽培されています。

ここではオリーブの葉・花・実の特徴について紹介します。

オリーブの葉…しゅっととがった銀葉

灰色の幹から細い枝がしなやかに伸び、その先に真っ直ぐと空へ向いた銀葉が、一直線上に対になって展開するオリーブ。しゅっと細くとがった楕円形(だえんけい)の葉は、表面が濃い緑で、裏面には産毛が生え白っぽく見えます。

また、オリーブは4〜6月ごろにかけて枝節から新しい葉を展開し、古い葉が落ちます。たくさんの葉が、丸くこんもりとなるように密集して生えるので、目隠し用の庭木や観葉植物としておすすめです。

オリーブの花…香りのある白い姿

5〜7月ごろになるとオリーブの木は、枝先についた葉の付け根から、ギンモクセイに似たクリーム色の無数の小さな花が密集して咲き、ほのかに上品な甘さのある香りを放ちます。7〜10日ほど経つと花はしおれてしまいますが、条件が良ければ2〜3週間後に二度咲きすることも。

オリーブの実…塩漬けなどで食べれる

雄花と雌花がそれぞれ別の株に付く、雌雄異株(しゆういしゅ)のオリーブの木。10月下旬〜11月中旬ごろにかけて、枝葉から鈴が鳴るように実が付きます。実は初めは緑色をしており、次第に赤紫色へと熟します。

品種によっては、苗木1本でも実が付くものもありますが、2本以上あるとさらに受粉しやすく、実の収穫量も増えます。「ルッカ」や「アルベキナ」は、1本で実がなるオリーブの木なので、1本で収穫をしたい方にはおすすめです。

また、少ない収穫量でも塩漬けやピクルスなどにして、食べることもできます。

オリーブの花言葉は「平和」「勝利」など

オリーブの花言葉は、「平和」「知恵」「安らぎ」「勝利」「歓迎」です。

ギリシャなどヨーロッパで「平和の象徴」とも呼ばれるオリーブの木は、真っ直ぐ空へ伸びたスリムな銀葉が、軽やかで美しい樹木。玄関に飾ると幸せを運ぶともいわれるため、縁起が良い木として昔から親しまれています。

オリーブの魅力

日陰に強く、肥料成分の少ない荒れた土地でも育つといわれるオリーブの木。枯れる心配が少ない庭木なので、初心者でも問題なく育てられるのも魅力の1つです!

ここでは、オリーブの魅力を3つ紹介します。

  • 季節ごとに色や姿の変化を楽しめる
  • 直射日光が当たる場所でも育てられる
  • 室内・庭のシンボルツリーや目隠し用の庭木・観葉植物になる

1. 季節ごとに色や姿の変化を楽しめる

春に花、夏に青葉、秋に実など、季節によって色や姿の変化を観賞できるオリーブ。選ぶ品種によっては、葉に斑が入るもの、樹高が低いものもあります。違う品種をいくつか植えて、印象的な部屋や庭づくりもできます。

2. 直射日光が当たる場所でも育てられる

海岸沿岸部に自生していることが多いオリーブは、直射日光にも負けないたくましさがあります。日当たりの良過ぎる部屋や庭でも育ちやすく、葉焼けや水切れを起こすこともあまりありません。窓際や庭で日除けとして置いたり植えたりするのもおすすめです。

3. 室内・庭のシンボルツリーや目隠し用の庭木・観葉植物になる

輝くような銀葉が美しいオリーブの木。背が高くなって幹も立派に大きくなり、たくさんの銀葉を出すので室内・屋外のおしゃれなシンボルツリーになります。鉢植えだけでなく、庭で地植えで育てれば、より大きくて立派なシンボルツリーを観賞することもできます。

また、細い葉が重なるように集まって出るオリーブは、芽吹く力が強く、強剪定をしても新しい枝葉を伸ばすため、透け感を自由に調節できる目隠し用の庭木・観葉植物にもなります。広めの玄関ポーチや門塀の横などに植えたり置いたりすると、機能的でハイセンスな庭づくりができます。

オリーブ ひなかぜ

花言葉 平和、知恵
初心者向き 初心者でも大変育てやすい植物です。
日当たり 明るい屋外管理をお勧めします。
耐暑性 強い
耐寒性 最低0℃程度
注意点 室内で育てると徒長する場合があるため注意。

オリーブの育て方

ここでは、オリーブの育て方のポイントを紹介します。室内と庭で分けて解説するので、どこで育てるのが良いのか、季節や自分が住まわれている地域も踏まえて、管理する場所を決めましょう。

室内で育てる場合のポイント

まず、室内で育てる場合のポイントを4つ紹介します

  • 日当たりの良い場所で管理
  • 排水性・通気性のある土を
  • 乾燥気味になるように水やり
  • 活力剤を定期的に与える

Point1.日当たりの良い場所で管理

乾燥した場所を好むオリーブは、日当たりと風通しの良い場所で育てるのがベスト。湿気がたまりにくくて、気温が25〜30℃程度の場所でよく育ちます。できるだけ、窓際に近くに置き、朝日と日中の光が差し込むような、日当たりの良い場所で管理しましょう。

日当たりや風通しが悪い場所では、暗過ぎるため葉の色味が悪くなったり、枝が徒長して見た目の悪い姿になったりする場合も。湿気がたまりやすくて、土が乾きにくいので根腐れが起こりやすく、株が枯れてしまうこともあります。

ただし、西日の当たり過ぎは、オリーブの枝葉を徒長させやすく、葉焼けや色変わりを起こす場合もあるので、東や南側の方向の部屋に置きましょう。

夏と冬の置き場所

1年を通して、オリーブは日当たりと風通しの良い場所に置きます。しかし、高温多湿や極端な寒さには弱いので夏と冬で置き場所を変えて管理するといいです。

夏は、日中の直射日光が当たらず、風が通り抜けるような場所がいいでので、部屋の中心部当たりに。冬は、午後ぐらいまで直射日光が当たって、温度が高い場所になる窓際周辺がおすすめです。

ただし、冬の夜は気温が急激に低くなるので、暖房を付けたり窓際から離したりして、冬越しをさせましょう。

徐々に光や寒さ・暑さに慣らすことで、オリーブは環境の変化にも負けない、強い株へと生長します。

Point2. 排水性・通気性のある土を

オリーブは土が硬いと根腐れが起こり、枯れてしまうこともあります。鉢に植え付ける前に、排水性・通気性・保水性を良くしておきましょう。

また、無機質な土では、養分がなければ微生物も住んでいないため、肥料で補う必要があります。化学肥料を与え過ぎると植物は「酸化」をし、病害虫の被害にあいやすくなります。悪循環な環境が生まれやすいので、赤玉土などの無機質な土を使う場合は、有機肥料と混ぜて使うといいです。

Point3. 乾燥気味になるように水やり

湿った場所が苦手なオリーブは、基本的に月に2〜4回ほどで水やりをし、土を乾燥気味にするといいです。ただし、開花時期や結実時期は多くの水分が必要となり、極端な乾燥は生長不良の原因となる場合も。

5〜6月・9〜10月ごろは水切れには注意し、土の中が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。土にメリハリ(乾燥と湿潤な状態)が付くように水やりすることがポイントです。

また、水やりはできるだけ午前中に済ませるといいです。日中の水やりは、太陽の光によって鉢の中が高温多湿な環境にになりやすく、オリーブの根を傷めやすくなります。

夏と冬の水やり

オリーブは、基本的には土が乾燥気味になるように水やりをしますが、夏と冬では少し水やりのタイミングと回数を変える必要があります。

夏の場合は乾燥した状態が長く続かないように、土の中が完全に乾いから後日に水をたっぷりと与えます。冬の場合は、湿った状態が長く続かないように、土の中が乾いてから3日後ぐらいに水をたっぷりと与えるようにしましょう。

また、冬は水やりを極力控えると樹液が濃くなり、寒さに耐性が強くなります。

Point4. 肥料と活力剤を定期的に与える

栄養が不足すると葉が落ちてしまうこともあるオリーブは、春から秋の間は定期的に肥料を与えましょう。鉢植えであれば、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れた緩効性化成肥料を与えます。結実期前は、リン酸が多めに入った速効性化成肥料を与えるといいです。

また、オリーブに水を与えるときには、活力剤も一緒に与えて健康的な株に育てましょう。肥料ではないので、与え過ぎても問題はあまりなく、定期的に与えるのがおすすめです。

元気がないときや、夏越し・冬越しをするとき、さらに植え替えや剪定をしたあとなどにも与えると枯れにくく、たくさんの美しい銀葉が観賞できます。

庭で育てる場合のポイント

次に、庭で育てる場合のポイントを6つ紹介します

  • 日当たりと風通しが良い場所で育てる
  • 直径3〜5mのスペースを確保して植え付ける
  • 支柱立てて苗木をしっかりと固定
  • 水やりは雨の水だけでOK
  • 収穫を楽しみたい場合は、定期的に肥料を与える
  • マルチングをして冬越し

Point1. 日当たりと風通しが良い場所で育てる

庭で育てるオリーブは、日当たりと風通しが良い場所で育てると、葉の色味も鮮やかで元気に生長します。日陰過ぎる場所だと幹や枝葉が間延びしやすく、光を求めて徒長し、さらに高木になってしまう場合も。春から夏の間にしっかり陽が当たるような、暖かい場所に植え付けるのがおすすめです。

Point2. 直径3〜5mのスペースを確保して植え付ける

枝葉が横に広がって高木に生長するオリーブは、大きくなったときを想定して、広めの場所に植え付けることがポイント。家から3m以上離れた場所で、最低でも直径3〜5m程度のスペースを確保してから植え付けましょう。

家と近過ぎたり、植え付けるスペースが狭過ぎると、オリーブの枝葉が建物や周辺の庭木にぶつかって樹形が乱れたり、周りの建造物を傷つけたりする可能性も。また、硬くて太い根が地中に伸びていくため、家の壁隣りや地中にガス管・水道管などがない場所を選びましょう。植え付けスペースが広いと、剪定もしやすくなり樹形を整えやすいです。

また、苗木を植え付ける前に、掘り起こした土に腐葉土と赤玉土を混ぜて、排水性・通気性・保水性を良くしておきましょう。

Point3. 支柱立てて苗木をしっかりと固定

地面に浅く根を張り、枝葉をたくさん出すオリーブは、強風によって根元から倒木したり、幹が折れたりする場合もあります。苗木を植え付けた後は足で根鉢を踏み固めてから、支柱を立ててしっかりと固定ましょう。

Point4. 水やりは雨の水だけでOK

オリーブの植え付け直後は、表面に水をたっぷり与えましょう。乾燥にとても強い木なので、その後は暑さで土が極端に乾いているときにだけ、水やりをすれば大丈夫です。

Point5. 収穫を楽しみたい場合は、定期的に肥料を与える

生命力の強いオリーブは、基本的には肥料を与えなくても、枯れずに十分に大きく育ちます。たくさん与えてしまうと、生長の流れに勢いが付き過ぎてしまい高木になる危険性も。生長スピードも一段と早くなってしまい剪定などの管理も大変になってしまうので、オリーブの生長の流れがにぶいときにだけ庭木用の緩効性化成肥料を与えるといいです。

ただし、実の収穫を十分に楽しみたい場合は、定期的に肥料を与えた方が良いので、年に3回程度庭木用の化学肥料・有機肥料を与えましょう。花が咲いたあと6月にお礼肥を、実が付きはじめる10月に追肥を、冬の準備期間となる休眠期に2月に寒肥を与えましょう。

Point6. マルチングをして冬越し

寒さや北風に弱いオリーブは、氷点下5℃を下回ってしまうと生長の勢いが弱まります。地面が凍ってしまうぐらいの気温になると、枯れてしまう可能性があるので、冬の間はマルチングをして冬越し対策をしましょう。

ワンポイントアドバイス

マルチングとは?
冬や真夏に外で植物を育てる場合、乾燥や保温対策としてウッドチップやバークチップ、腐葉土などを株周りに敷いて地表をカバーし、夏越しや冬越しをします。

剪定・・・庭:年に1回のペース、鉢植え:2〜3年に1回のペースで

鉢植えやポットから地面に移植すると生長スピードが早いオリーブは、長い間放置すると見た目が悪くなるだけでなく、大きくなり過ぎて、樹高が10mを超える高木になる場合も。年に1回のペースか、背丈が高くなり過ぎたときや、枝葉が混み合ったりしたときにも剪定や刈り込みをしましょう。

室内の観葉植物として鉢植えで育てている場合は、2〜3年に1回のペースで行うといいです。

基本的には、長く伸び過ぎた中心の幹、絡み合った枝葉、色が黒ずんだ古い枝葉、枯れた枝、不要な枝を間引くように透かしながら剪定します。強剪定にも強いので、大きくなり過ぎたときは、好みの高さで太い幹や枝を切っても大丈夫です。その場合は、切り口がきれいな断面になるように、ノコギリを使って剪定しましょう。

適切な剪定時期は2〜7月

オリーブの剪定は、暖かくなりはじめる2〜7月の間であれば、失敗することがあまりありません。特に3月は最適な剪定時期で、花芽ができた状態で、生長も安定し始めているころです。

時期を間違えなければ、基本的にはオリーブの剪定は失敗しにくいです。ただし、氷点下を下回るような真冬の強剪定は、オリーブの木にとって大きなストレスになり、新芽が出なくなってしまったり、株が枯れてしまう場合も。太い幹や枝を切って高さを調節するような剪定をする場合は、極寒日を避けましょう。

剪定のコツは枝を切り戻すこと

一本の太い幹(主幹)から、細い幹や太い枝を伸ばしながら株が大きくなるオリーブ。剪定をうまくしないと、株の内側に光が当たらず枝葉が枯れ、スカスカで見た目の悪い姿になります。基本的に長く伸びた幹や枝葉を、枝分かれした箇所まで切り戻すような剪定で全体の樹形を整えます。ただし、太い幹や枝を切り詰め剪定し過ぎてしまうと、切った箇所から複数の枝葉が伸びて樹形が暴れる場合もあるので注意してくださいね!

  1. 遠くから見て、オリーブの理想の高さや幅など、剪定するラインを決める
  2. オリーブの木の主幹から伸びる太い枝の透かし剪定
  3. オリーブの木が大きくなり過ぎたときは、決めたラインから出ている幹を芯止めする
  4. 決めたラインから出ていて、樹形を乱すような幹や枝葉は全て、枝分かれした付け根で切り落とす
  5. 枝先から伸びる細かい枝葉を、好みの透かし具合に調節しながら切り戻す

花付きや生育が悪くならないように、以下のような枝を枝分かれしたところまで切り戻しましょう。オリーブの枝を切るときは、必ず付け根の数ミリ上で、切り口と残った枝のラインが並行になるように切るのがポイントです。切る位置が近過ぎたり、遠過ぎたりすると枝が枯れる場合も。

  • 内向枝|株の内側に向かって伸びる枝
  • 交差枝|枝同士が十字に交差する枝
  • 絡み枝|太い枝に絡みつくように伸びる枝
  • 立ち枝|横に伸びている太い枝に対して、直立したように上に強く伸びる枝
  • 徒長枝|株から強く飛び出すように、太く長く伸びる枝
  • 平行枝|近い位置で平行に同じ方向へ伸びる枝
  • 逆さ枝|地面に向かって伸びる枝

植え替え・・・2〜3年のペースで行う

密集するように太い根と細い根をたくさん出して大きくなるオリーブの木。鉢植えで育てている場合は、2〜3年に1回のペースか、鉢底や土の表面から根が出ているときや、根がパンパンに伸びて土の表面が硬くなったときにも一回り大きい植木鉢に植え替えします。

根詰まりを起こしていたり、与えた水がなかなか土に染み込まなかったりすると、水や栄養を十分に吸収できず枯れてしまうことがあります。

適切な植え替え時期は3月下旬〜4月上旬、5月中旬〜6月下旬

オリーブの鉢植えの植え替え時期は、暖かくなりはじめた3月下旬〜4月上旬か、5月中旬〜6月下旬ごろです。ただし、氷点下を下回るような極寒日は根が寒さに当たり、株が弱ってしまうので避けるようにしてください。

植え替えの手順

Step1. オリーブを鉢植えから丁寧に出す

鉢の中に根がたくさん詰まったオリーブの木は、鉢をひっくり返して底を叩いたりすると簡単に抜けます。もし根鉢が抜けない場合は無理に引っ張らず、ポットの側面を押して鉢と根鉢の間をほぐしてから慎重に抜くようにして、できるだけ根鉢を崩さず、やさしく扱いましょう。やわらかいプラスチック製のポットの場合は、底を根鉢ごと押し出すように引き抜くと、根を傷めずに取り出せます。

根鉢を無理に引っ張ってしまうと、オリーブの幹の樹皮がはがれてしまい、水やりのときの水分によって幹が壊死(えし)して、株が枯れ込む場合もあります。

Step2. オリーブの根鉢を崩して整理する

ハンドシャベルやはさみを使って、オリーブの伸び過ぎた根を前年と同じくらいのサイズまで小さく切り戻します。根から吸い上げた水分量と、葉から出る水分量が同じ量になるように、枝葉の数も減るように切り戻し剪定をしましょう。

Step3. オリーブを一回り大きい鉢に植え替える

一回り大きい鉢の底に用土を薄く敷き、元肥を入れます。鉢の中心に根鉢を置いたら、オリーブの根鉢の高さを調整しながら、用土を足し入れましょう。水をたっぷりと与え、指先や手のひらを使って土の表面を軽く押します。株が倒れないように、周りの土を寄せるようにしてオリーブの木を固定させましょう。

病害虫対策…多湿には注意

比較的病害虫の被害にあいにくいオリーブの木ですが、日当たりや風通しが悪い場所で育てていると、菌やウイルスによって病気を起こしたり、ハダニやカイガラムシ、さらには幹の中にオリーブアナアキゾウムシの幼虫など害虫が付くこともあります。

風がなくて極端に乾燥する場所や、湿気がたまる場所では被害にあいやすいので、窓やドアを開けて空気の流れをつくりましょう。

病気

炭そ病

比較的湿気がこもりやすい梅雨ごろや長期的な雨が続くころに、菌によって新葉に茶色の病斑が現れます。また、長く続いた雨や地面に跳ね返った雨の水によって菌が葉や実に付着することもあります。実に炭そ病が発生すると、茶色く腐食し収穫量も落ちます。株の周りはバークチップなどでマルチングを行い、雨の水が跳ね返らないように工夫するといいです。

梢枯病(しょうこびょう)

梅雨の時期になると、新梢の先端部が茶色く枯れます。炭そ病の菌によって発生しやすいです。

害虫

ハダニ

1年を通して葉の表裏に発生しやすい吸汁性の害虫。風通しが悪くて乾燥した場所に発生し、葉の養分を吸汁します。放置をするとコロニーを形成し大量に繁殖し、落葉の原因になる場合も。定期的な葉水や剪定をしますが、大量に発生した場合は薬剤で対処するといいです。

カイガラムシ

1年を通して葉・枝・幹に発生しやすい吸汁性の害虫。成虫になると甲羅が硬質化し、薬が効きにくくなります。できるだけ薬の効く幼虫のうちから、薬剤散布を行うといいです。成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。

オリーブアナアキゾウムシ

比較的7〜10月にかけて、成虫がオリーブの幹の根元付近に卵を産み付けて、幼虫がふ化すると、木の内部を食い荒らします。食害された箇所は、黒く変色したり腐ったりして生長の流れが悪くなります。成虫を直接補殺し、株上部に付かないように殺虫剤を散布しましょう。

オリーブのおすすめの飾り方

株が大きくなると、太くゴツゴツとした立派な幹になるオリーブは、部屋のインテリアとして印象深い観葉植物です。ナチュラルで上品な雰囲気もあるオリーブの木を飾って、おしゃれな空間を演出してみましょう。

ここでは、オリーブのおすすめの飾り方について3つ紹介します。

  • 床を見せるようにオリーブを飾る
  • 部屋ラインが強調するようにオリーブを飾る
  • 鉢カバーや受け皿にもこだわってオリーブを飾る

床を見せるようにオリーブを飾る

すっきりとした印象のある部屋を演出したい場合は、ものを置き過ぎず、部屋が開放的に見えるようにコーディネートすることが大事です。中型ほどの鉢植えで育てるオリーブの木は、できるだけ宙に浮かせて床を見せるように工夫しましょう。

目の錯覚によって実際よりも部屋が広く見えるようになり、散らかったような印象がなくなります。部屋を広く見せると圧迫感を感じにくくなり、開放的な空間にも仕上げられます。

また、オリーブの木は、目の高さよりも高い場所に置くことで天井を高く見せることも可能です。視線が上に向き、立体感のある空間も再現できます。

ただし、一列に並べて面になるように配置してしまうと「壁」になりやすく、圧迫感を強めてしまうので注意してください。

部屋ラインが強調するようにオリーブを飾る

正方形や長方形など、直線的で角張ったようなデザインが多い現代のモダンなインテリア。オリーブの木など、背の高い観葉植物を飾る場合は、真っ直ぐと伸びる部屋の縦のラインを崩さずに配置することがポイントです。

部屋ラインを強調するようにコーディネートすることで、より立体的な空間に見え、動きのあるおしゃれなインテイリアになります

例えば、部屋の四隅には床から天井まで壁の縦のラインがあります。その縦のライン上にぴったりとオリーブの木があわさるように配置しましょう。上に真っ直ぐと生長するオリーブの木なら、ラインを強調し、部屋のスタイリッシュさにより磨きがかかります。

ほかにも、柱や窓枠・ドア枠のラインにあわせて、オリーブの木を飾ってみてください。

鉢カバーや受け皿にもこだわってオリーブを飾る

3〜5色で配色されることが多い現代のモダンなインテリア。部屋や家具とリンクするように、オリーブにはかせる鉢カバー・受け皿の色・素材を選びましょう。

例えば、ソファーやベッドのフレーム・脚がブラウン系の木製の場合は、色にあわせて素焼き鉢、素材や質感にあわせてブラウン系の木製鉢カバー・受け皿を選びます。

また、鉢カバーの色もできるだけ発色が弱く、単色なものがよくなじみやすいです。無機質なセメントや石材でできた鉢カバー、シンプルな色味のセラミック鉢カバー、ナチュラル感のある木製鉢などがさまざなテイストのインテリアによくなじみやすいのでおすすめです。

また、プラスチックの鉢ポットをそのまま飾っていると、安っぽく見えたり、不潔に見えたりする場合もあります。

少し色味や遊び心が欲しいときは、マーブル調にあしらった鉢カバーや、単色と明るい色が一緒になったツートーンカラーの鉢カバー・受け皿などがオリーブの木にあいます。

オリーブの種類

種類を選べばオリーブの木は、1本で実が付く「自家結実性(じかけつじつせい)」のものがあり、葉・花・実を1年を通して観賞できます。

さらに、苗木を2本以上を組み合わせて受粉させると、実の収穫量を多くすることもでき、オリーブの栽培をより楽しめます。

各オリーブの特徴&受粉の相性の良い品種一覧

品種名 自家結実性 アルベキナ ピクアル マンザニロ コロネイキ ネバディロブランコ ルッカ シプレッチーノ ミッション
アルベキナ あり
ピクアル あり
マンザニロ なし
コロネイキ あり
ネバディロブランコ なし
ルッカ あり
シプレッチーノ なし
ミッション あり

※◎:非常におすすめ、◯:おすすめ

まとめ

寒さや厚さに耐性があるオリーブは、生命力が強く、丈夫な性質なので、初心者でも枯らさずに育てやすい植物です。品種を選べば、苗木一本で実を収穫することもでき、観葉植物や庭木として楽しめる魅力があります。

また、庭やベランダなど、屋外で育てれば、たたずまいの美しいシンボルツリーや目隠し用の庭木にもなります。鉢植えでも手軽に育てられるので、スタイリッシュな室内の観葉植物にもおすすめです。ぜひオリーブを育てて、癒しのある部屋づくり・庭づくりをしてみてくださいね!

オリーブ ひなかぜ

花言葉 平和、知恵
初心者向き 初心者でも大変育てやすい植物です。
日当たり 明るい屋外管理をお勧めします。
耐暑性 強い
耐寒性 最低0℃程度
注意点 室内で育てると徒長する場合があるため注意。

オリーブの木に関するよくある質問

オリーブの木の風水効果は?

「平和」「安らぎ」「知恵」「勝利」の花言葉をもつオリーブの木は、風水では邪気を払うパワーがあるといわれ、良い運気を家にもたらす効果があります。特に良い運気・悪い運気と全ての気が出入りする玄関にオリーブの木を置くと、より強いパワーを発揮するようです。

そもそも風水において、「玄関」は重要な箇所とされています。日本では古くから縁起のある木として「ナンテンの木(=難を転じて福となす)」を植える習慣があります。ギリシャなどの海外でもオリーブやローリエ(月桂樹)の木は神聖な木とされ、玄関前に置いて幸運を招き入れる習慣があるようです。

邪気払いのパワーがあるオリーブの木は、室内・屋外の玄関近くに置くと、鋭くとがった葉によって悪い気が溜まりにくく家を守ることができます。葉がたくさん伸びた株になるほど厄除けや魔除けの効果が高まるといわれているので、元気な葉が多く生えたオリーブの木を選びましょう。

オリーブに実を付けさせるには?

オリーブの木に実を付けさせるためには、1本で実が付く自家結実性の品種を選んでみましょう。また、より栽培を楽しみたいのであれば、2本以上の苗木を選んでみます。

しかし、どちらも多くの実を楽しむためには、人口受粉が欠かせません。綿棒などを使って、雄しべから雌しべに花粉をやさしく付けてあげると、多くの実を付けるようになります。

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